研究課題/領域番号 |
16H06781
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
矢郷 哲志 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (00778243)
|
研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
キーワード | 看護学 / 発達障害 |
研究実績の概要 |
1歳から3歳未満の幼児の社会-情緒、行動上の問題を有する子どものスクリーニング尺度である日本語版Brief Infant-Toddler Social and Emotional Assessment(日本語版BITSEA)の標準化を行う目的で、今年度は先行研究で得られたデータの二次分析を実施した。埼玉県内に居住する1歳から3歳未満の幼児とその養育者1500名を層化二段抽出法により無作為に抽出した上で質問紙を配布し、回答が得られた659名のうち(回収率43.93%)、欠損値のみられた81名を除外し、578名のデータを分析対象とした(有効回答率87.71%)。性別は男児261名(45.16%)、女児317名(54.84%)、居住地域は政令指定都市部が99名(17.13%)、市部が440名(76.12%)、町村部が39名(6.75%)であった。日本語版BITSEAにおけるCronbachのα係数は問題領域、能力領域ともに0.7以上であり、十分な内的整合性が確認された。また、日本語版BITSEAの得点には有意な性差および月齢差があり、この結果は、原版BITSEAにおける知見とも一貫性があった。また、米国の標準サンプルの得点との比較において、社会-情緒、行動上の問題および能力における有意な文化差が明らかとなった。以上より、日本語版BITSEAの基準値の設定において、性差、月齢差、文化差を考慮に入れる必要性があることが示唆された。日本語版BITSEAのテスト‐再テスト法による信頼性、既存尺度との併存妥当性については、現在分析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
日本人の標準サンプルにおける日本語版BITSEAの得点分布、性差、月齢差、文化差、内的整合性について検討し、国内外の学術集会にて結果を発表した。テスト‐再テスト法による信頼性および既存尺度との併存妥当性についてはデータの分析中であるため、継続して分析を進める必要がある。また、日本語版BITSEAのカットオフ値の設定においては、臨床群およびコントロール群のデータ収集の進捗が遅れているため、目標のサンプル数が得られるよう計画的に実施していく必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
日本語版BITSEAのカットオフ値の設定を行うため、小児科クリニック及び児童精神科クリニックにおいて、ASD群、グレーゾーン群、コントロール群の3群のデータ収集を行っていく。3群のデータに基づいて、日本語版BITSEAにおける性別および月齢別のカットオフ値を設定する。本研究で得られた結果を統合した上で、日本語版BITSEAの使用マニュアルの作成に着手する。
|