研究課題
1.日本家族社会学会大会での研究報告:2017・2018年度に実施した22名の中年期未婚女性に対するインタビュー調査結果として、以下の内容を報告した。①生涯未婚女性は定位家族の家計に対する関心がおおむね低く、親の経済状態を具体的に把握している人、把握しようとしている人は少数であった。②ただし、親との同居者・別居者を問わず、親が持家を保有している人で、きょうだいとの関係性が悪くない場合においては、親の家を自身の老後の備えと考えている語りが多くみられた。③自身の現在および将来の経済状況に対して、おおむね大きな関心とともに不安を抱えていながらも、そのような不安を取り払うような具体的・積極的な行動をとっている人や60歳以降の収入の見込みについて具体的なイメージを抱いている女性たちは少数であった。④このような女性たちの経済状況に対する関心の低さの背景要因の一つとして、女性たちの親子関係(特に親との同居者)において明確な役割逆転が生じていないことが指摘できる。高齢化によって親の経済資源や身体的資源が低下しても、親子間で今後の生活の見通しについての話し合いや親子の役割調整が行われることはほとんどなく、暗黙の了解をベースとした生活の仕方が継続されている。その結果、女性たちは中年期に入っても極めて個人的な狭い範囲の意思決定の機会しか持てず、老後を見据えた対処戦略を描こうとする動機付けが生まれにくい様子がうかがえた。2.上記①を踏まえたWeb調査の実施:同じく中年期未婚女性1000名を対象にしたWebアンケート調査を実施した。聴取内容は、①これまでのキャリアと今後のキャリア志向・計画、②資産形成、保険への加入状況などを中心とした家計状況と今後の経済資源の蓄積計画、将来に向けた家計認識、③老親を中心とする家族関係と介護状況の把握、④将来に向けた生活不安に関する75問で構成した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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JILPT第3期プロジェクト研究シリーズ
巻: 9 ページ: 170-192
The Past, Present and Future of Applied Ethics
巻: なし ページ: 75-88