本研究では、国際裁判の判決が敗訴国の世論に及ぼす効果を検証した。世論の支持は、敗訴国の判決履行を左右する重要な要因として指摘されながらも、データ収集の技術的な難しさから体系的に分析されてこなかった。本研究は、サーベイ実験の手法を用いることでこの問題を克服した。実験の結果、国際裁判の効果が示された。裁判によって、自国の国際協定違反が確定した場合、政府による違反の是正を支持する国民が増えることが確認された。しかし、判決の効果は、裁判相手国の協定履行の状況、人々の選好、裁判の対象となる分野(人々に直接的に影響する政策か否か)によって弱まることも確認された。さらに、日本人と米国人の差も認められた。
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