本研究の目的は,生徒の方程式を立式する場面で用いる文字式の理解に関する困難性を顕在化させ,その困難性を克服するための学習指導を提案することにある.本研究では,全国学力・学習状況調査において出題された問題の中で,特に正答率の低かった過不足の問題に焦点を当て研究を進めた. 本研究は,公立中学校2校の3年生を対象に質問紙調査とインタビュー調査を実施し,過不足の問題において方程式を立式できない生徒の文字式の理解の様相をまとめた.そこでは①問題文の言葉を置き換えている物としての文字,②数値の意味をもとに数値を置き換えている物としての文字,③物そのものを置き換えている文字の3つの様相が顕在化した.
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