研究課題
本研究の目的は「心疾患患者の運動機能の改善が再入院低下に関与するか」を明らかにすることである。そのため、まずは「心疾患患者の再入院に関係の強い運動機能評価は何か」を明らかにするために、文献の網羅的探索を実施した。方法は、EMBASE、MEDLINE、PubMed、Cochrane Libraryの電子データーベースを使用し、"握力"、"筋力"、"歩行速度"、"運動機能"に関するコホート研究の論文を第三者機関のサポートを受けて収集した。その結果、心疾患患者の身体機能と再入院や生命予後との関係について報告されていた論文は、下肢筋力、握力、歩行速度、立ち座り能力およびバランス機能などの指標が使用されていたが、最も多く報告されていた指標は6分間歩行試験であった(33論文中26論文)。この6分間歩行試験と生命予後との関係について、7309名を対象としたメタアナリシスによる解析を実施した結果、心疾患患者とくに心不全患者の6分間歩行試験と生命予後には有意な関係が認められ、6分間で歩ける距離が短ければ短いほど生命予後も短くなることが明らかとなった。なお、その他の指標は論文数がほとんど1論文のみであったため、メタアナリシスによる解析を実施することは出来なかった。次に、前述のシステマティックレビューで抽出された身体機能指標である握力、下肢筋力、バランス機能、歩行速度、6分間歩行試験を外来心臓リハビリテーションを受けている患者47例で測定を行った。その結果、観察期間中に25.6%(12名)の患者が心血管由来の再入院をした。心臓リハビリテーションを実施することによって運動機能の改善は認められたが、観察期間1年間では運動機能の改善群と非改善群で再入院率の有意な差を認めるには至らなかった。その理由として、サンプル数が少ないことが原因と考えられるため、今後も追加で症例数を増やす必要がある。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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