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2016 年度 実績報告書

発展途上国における死因分布のベイズ推定

研究課題

研究課題/領域番号 16H06853
研究機関名古屋大学

研究代表者

國濱 剛  名古屋大学, 経済学研究科, 講師 (40779716)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード死因の分布推定 / マルコフ連鎖モンテカルロ法 / ベイズ統計学
研究実績の概要

人口動態統計が十分ではない発展途上国における死因の分布推定のため、条件付独立性を仮定しない柔軟な予測統計モデルを新たに考案した.多変量正規分布に従う潜在変数に因子モデルを仮定することで、症状間の複雑な相関関係を表現しつつ、共分散行列の次元を低く抑えて計算時間の短縮を実現した.加えて、提案した死因の条件付き多変量プロビットモデルの枠組みでは、調査データに多く含まれる欠損値を補完する必要がなく、すべてのデータを効率的に使えることを示した.また、提案モデルにおけるパラメータの推定においては、マルコフ連鎖モンテカルロ法によるベイズ推定アルゴリズムを提案した.通常、多変量プロビットモデルを使った確率評価は、多変量正規分布に複雑な制約が絡むため計算が非常に困難であるが、モンテカルロシミュレーションを応用することで計算を可能とした.実証分析として、PHMRC(Population Health Metrics Research Consortium)の口頭剖検データを使った分析を行った.この実データを使って、条件付独立性に基づく既存の予測手法との比較を行ったところ、様々なシナリオにおいて、提案手法は死因の分布推定を大きく改善できることを示した.また、ある地域の死因分布の推定のために、他の地域のデータを訓練データとして用いるが、この訓練データサイトにおける死因分布が、知りたい地域の死因分布と大きく異なる場合、追加的な調査を行うことで、予測を大幅に改善できることも示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

この研究課題の核の部分である、条件付き独立性を仮定しない死因予測統計モデルを考案し、効率的なパラメータの推定方法も新たに提案した.加えて、現在広く用いられている既存のアプローチよりも死因分布の推定が優れていることも確認できた.また、これまでの研究成果をまとめて、国内研究会「高次元・高頻度データのベイズ計量経済分析」(東北学院大学、2017年2月7日)などで発表を行い、様々な研究者からのフィードバックを得ることができた.これらの点を踏まえて、「おおむね順調に進展している」と判断できるとした.

今後の研究の推進方策

本研究で提案する統計モデルは、成人死因データの実証分析に応用してきたが、適用範囲が広く、子供や乳幼児の死因分布の推定にも有用であると考えられる.この場合、口頭剖検に関する質問項目が異なってくるため、モデルの変更点にも注意して応用する必要がある.研究成果は、積極的に国内外の会議で発表をするとともに、論文として仕上がり次第、国際的学術雑誌への投稿を行う予定である.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] University of Washington/Ohio State University(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      University of Washington/Ohio State University
  • [学会発表] Bayesian estimation of distributions of causes of death with verbal autopsy surveys2017

    • 著者名/発表者名
      國濱 剛
    • 学会等名
      高次元・高頻度データのベイズ計量経済分析
    • 発表場所
      東北学院大学
    • 年月日
      2017-02-07
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16   更新日: 2022-01-28  

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