本研究では、主に17世紀における領主と村・町の関係性を、訴訟や法令に関する史料から迫ることを目的とした。研究の結果、近世領主が制定した公儀領主法には、(1)武士を対象とした家中統制法、(2)宗教者を対象とした寺社統制法、(3)町人を対象とした都市統治法、(4)百姓を対象とした村落統治法に分類することができ、その特徴としては(a)領域全体に平準化して公布・適用されるという均質性、(b)一時的ではなく、先例として継承されるという持続性、(c)数ヶ条から成り、原則を有するという体系性、(d)中央と地方における相互補完関係による重層性を見出すことができた。
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