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2016 年度 実績報告書

大腸癌幹細胞と上皮間葉転換大腸癌細胞に共通する抗癌剤治療抵抗性メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H06899
研究機関京都大学

研究代表者

松原 淳一  京都大学, 医学研究科, 特定助教 (40782371)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード癌 / 抗癌剤 / 癌幹細胞 / 大腸癌 / 上皮間葉転換
研究実績の概要

1.ヒト大腸癌由来異種移植片腫瘍(Patient Derived Xenograft tumor)の作成。
ヒト大腸癌手術検体を入手し、3mm大の組織片に断片化。それを免疫不全マウス(NRG: NOD-Rag1nullIL2rgnull)の皮下に移植しPDX tumorを作成した。最終的に3症例から作成した(PDX tumor 3種)。cancer cell lineから作成したxenograft tumorがヒト生体内の癌の状態とは大きく異なる遺伝子変異を保有しているのに対し、PDX tumorの遺伝子変異はより生体内の癌の状態に近く、Cancer Stem Cell研究を行うのに適している。
2.ヒト大腸癌PDX tumorを移植した免疫不全マウスにおいて、大腸癌治療の臨床における標準治療薬の一つであるirinotecanを用いた抗癌剤治療を行った。irinotecanはマウス体重グラム当たり50 μgを1週間に1回腹腔内投与し、それを3週間行った。治療後、腫瘍を摘出し細胞間接着を酵素処理して単細胞化し、FACS(fluorescence activated cell sorting)を用いてCancer Stem Cell(CD44+/CD166+)とnon-cancer stem cellを分離回収する作業を現在行っている。プロテオミクス解析を予定しており、多数のサンプルが必要になるため、この段階での所要時間が長くなることが予想される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒト大腸癌PDX tumorを移植した免疫不全マウスにおいて、大腸癌治療の臨床における標準治療薬の一つであるirinotecanを用いた抗癌剤治療を行い、予定通り、治療後に腫瘍を摘出し細胞間接着を酵素処理して単細胞化し、FACS(fluorescence activated cell sorting)を用いてCancer Stem Cell(CD44+/CD166+)とnon-cancer stem cellを分離回収する作業を現在行っている。次にプロテオミクス解析を予定しており、この段階で多数のサンプルが必要になるため、多くの時間を要しており、やや予定の実験計画よりも遅れてきている。

今後の研究の推進方策

ヒト大腸癌細胞株に転写因子Twist, SnailおよびSlugをそれぞれ強制発現させてEMT誘導する。EMTは、間葉系マーカーであるZeb1, VimentinおよびFibronectin発現レベルの上昇、E-cadherin発現レベルの低下により確認する。転写因子強制発現の際、EMT誘導細胞(GFP-reporter陽性)と未誘導細胞が混在するが、そのままNOD-SCIDマウスの皮下に移植しXenograft tumorを作成する。その後、前述のPDX tumorの実験と同様のirinotecan治療を3週間行ったのち腫瘍を摘出し、FACSによりEMT誘導細胞(GFP-reporter陽性)と未誘導細胞を分離回収する。分離回収した細胞はICAT-LC-MSによりプロテオミクス解析し、EMT誘導細胞および未誘導細胞においてそれぞれ治療前後で比較する。この比較解析により、EMT誘導癌細胞において特異的に発現が変化しているタンパクが同定される。
Cancer Stem CellとEMT誘導癌細胞の実験結果を比較することで、両者の抗癌剤治療抵抗性メカニズムに共通する候補タンパクが同定される。
新規同定したタンパクを発現抑制または強制発現し、実際に抗癌剤治療感受性に変化がみられるかどうかを検証する。

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公開日: 2018-01-16  

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