今後の研究の推進方策 |
①【PDK2のcancer stemnessへの関与の解明】 PDKsが他癌種でstemnessに関与するという報告があるが卵巣癌では報告されていない。PDK2を抑制することでstemness markerやsphere formationが変化する結果を予備実験でえている。 検討内容としてPDK2抑制細胞株でのside population(SP)の解析、ALDEFLUOR 、sphere formation assayに加え、in vivoでのtumorigenicityの変化をみる。 ②【TP53機能回復とPDK2阻害の関連性の解明】 一般に卵巣明細胞腺癌は他の種類の卵巣癌種と比較しTP53 mutationは稀である。しかし、whole exome sequencingの結果から卵巣明細胞腺癌では17番染色体短腕(17p)が欠失していることを我々は見出している。卵巣癌ではMDM2,PPM1DなどTP53機能抑制に働く遺伝子の発現上昇があることが報告されている。またTP53はPDK2の発現を負に制御していることが報告されている。よって17p欠失(変異とは異なるメカニズムによるTP53機能抑制)と17q増幅の相乗効果によってCDDP耐性が惹起されている可能性を検証する。実際にはMDM2阻害剤を用いてPDK2発現が低下し、またCDDP感受性が亢進する予備実験結果を得ている。 実験計画としてPDK2抑制細胞株のRNAシークエンス解析、メタボローム解析を行う。さらに卵巣明細胞腺癌におけるTP53,PDK2,代謝をつなぐメカニズムを17番染色体の増幅欠損を導入した細胞株でin vitro, in vivoレベルで解明する。
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