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2016 年度 実績報告書

運動による認知症予防メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H06910
研究機関京都大学

研究代表者

野田 泰葉  京都大学, 医学研究科, 特定助教 (50784146)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワードアルツハイマー病 / 運動
研究実績の概要

認知症は、超高齢社会の本邦において大きな社会問題の一つである。しかしその根本的治療法は解明されていないため、いかにして認知症発症を防ぐか、あるいは進行を抑制するかという早期治療に重点が置かれている。特に生活習慣病との関連性は大規模疫学研究でも明らかにされており、発症前からの生活習慣改善は認知症予防に多いに有効と考えられる。申請者これまでに、運動による認知症予防メカニズムを、分子生物学的手法を用いて検討してきた。その中で、運動に伴い発現が促進するタンパク質に着目し、このタンパク質が アルツハイマー病原因タンパク質のアミロイドβに対して抑制効果を発揮する事を明らかにした。このメカニズムを動物、さらにはヒトにも発展させることで、運動が認知症病態に対して予防、抑制効果を与える根拠、またその根拠に基づいた早期運動介入やスクリーニングの意義を明らかにする事を目的とする。これまでの培養細胞を用いた研究結果より、着目した運動関連タンパク質XはAD病理に対して抑制効果を発揮した。申請者はこの研究結果をマウス、ヒトに発展させて検証する。一つ目は、ADモデルマウスに対してAD病理変化を呈する前に運動負荷を行い、原因タンパク質に対する抑制効果を対照群と比較する。また空間学習記憶に対する効果についても比較検証する。本研究で着目しているタンパク質Xは細胞膜貫通型タンパク質であり、酵素切断を受ける事で分泌型となって血中へと放出される。そこで、バイオマーカーとしての有用性を検討するために、AD患者や健常者の血液サンプルを用いて比較検討を行う。更に、既存のADバイオマーカーや、運動習慣を始めとした患者の生活習慣に関わるデータとの相関関係についても検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、マウスの使用、ヒト検体を用いることとしており、複数の群で比較検討することから、必要なn数を集めるために時間を要する。特にマウスの実験に関しては、適切なジェノタイプを持つマウスをセレクトする必要があり、行動実験による認知機能を適切に評価できるよう、条件検討に時間を要した。昨年度の条件検討において、最終的な条件を概ね決定することができたと考えている。
ヒトの検体を用いた実験では、n数を多く集めることができたが、AD群と対照群との間に、目的タンパク質の有意な差は見られなかった。

今後の研究の推進方策

マウス実験をメインに進める予定である。アルツハイマー病は、正確にその病態を反映できているモデルマウスがまだ作製されていないこともあり、脳内での分子的変化と、表現型として現れる認知機能変化や行動異常等にばらつきがあるモデルもある。本実験で使用するモデルマウスには、認知機能障害を呈するとされる時期に生活習慣介入を行っても、認知機能や行動異常といった最も検討したい項目で差が見えづらいため、悪い生活習慣(今回は高脂肪食摂取で検討)を組み込むという条件で実験を行い、生活習慣の改善による効果を評価していく予定である。
使用するADモデルマウスは、生後4.5ヵ月齢で脳実質のAβ沈着を認める事が知られている。よって申請者は、生後2ヵ月齢から高脂肪食負荷を開始し、介入終了後にマウス脳のAβ沈着量の定量化を行う。この実験から、運動介入という生活習慣の改善によってAβ蓄積に対する予防効果が発揮されるかどうかを検証する。
以上の1.2.の実験より、運動により変化するタンパク質XのレベルとAβ沈着の定量的データを求め、両者の相関関係を検討する。
上記の条件で介入を行った上で、通常ならばADモデルマウスが学習記憶障害を呈する時期(7ヵ月齢)に行動解析を行う事で、運動介入による学習記憶障害の予防効果を明らかにする。

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公開日: 2018-12-17  

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