今後の研究の推進方策 |
次年度も,基本的には本年度同様,パーリ聖典中のbrahman-の読解・整理,各研究会における発表や参加による情報収集を行う.ただし次年度は特に,仏教分野を中心に研究発表を行う.これにより,本年度得た仏教外分野におけるbrahman-の用法に関する最新知見を仏教分野に持ち帰って学界を裨益し,かつ,仏教文献の専門家から本研究への批判を受け,研究精度を高めたい. また,最終年度となる次年度中に,パーリ聖典中のbrahman-の用例表を,電子媒体で公開したい.パーリ聖典には一応コンコーダンス(F. L. Woodward et al. (eds.), Pali Tipi.taaka.m Concordance, 3vols., Oxford: The Pali Text Society, 1991-1993)が存在するが,brahman-より相当前の語で,未完のままプロジェクトは終了してしまった.brahman-という語は,仏教に留まらず他の様々な古代インド文献において重要な位置を占める.申請者による用例集の公開は,専門家にとっても骨の折れる膨大な用例数の俯瞰視点を供する点で,仏教分野に限らず広く斯学に利益をもたらすことになる.今のところ,用例集の公開の場としては,Academia.edu等の既存の論文共有サイトの使用を予定している.必要な機能が備わり,独自のサイトを運営するコストも掛からない為である.
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