インド初期仏典中には梵我一如思想が2つ併存する.1つはバラモンによる,四無量を通じて最高神brahman-(梵天)への到達を説くもの.もう1つは仏教徒による,仏教徒が最高の境地とする涅槃をbrahman-と称し,そこへの四諦による到達を説くものである.これについて,仏教徒はバラモンの主張を認め,四無量を仏教の修行道中に取り込んだ.一方で仏教徒は,梵天は最高神と言えど輪廻に囚われた者であり,輪廻から脱した涅槃への道を説いたのがブッダであると主張し,仏教の優位性を保とうとした.なおこの修行構造では,最高神brahman-への到達を目指す修行は,仏教徒のbrahman-つまり涅槃へ向かう事にもなる.
|