・前年度に得られた,非零Aパス詰め込みと triple exchange の中間的な性質に関して,整数版と半整数版パス詰め込みの解法を検討した.驚くべきことに,問題の規模をある程度大きくすることで,その性質は非零制約が導くものとほぼ等価であることが判明し,その結果,整数版に関しては既知の結果を通じてある程度の理解ができることが明らかになった.一方で,問題の規模が大きくなるため,計算量的な観点から見ると満足できる結果が得られているとは言い難く,直接的で高速な解法を開発できるかどうかは今後の大きな課題として残されている. ・また,半整数版詰め込みの高速な解法の応用として,多様な問題に対する線形計画緩和を用いた線形時間FPTアルゴリズムの統一的な設計という結果が得られている. ・グラフにおける詰め込み問題の原点であるマッチング問題に,ある種の不確実性を取り入れた問題に対する解法のアイデアが,どの程度一般的な問題まで拡張できるか,という研究を行った.上記の半整数版パス詰め込みの応用にも共通するが,整数性・半整数性を持つ線形計画緩和の新たな活用法を探究している研究でもあり,今後の発展が期待される. ・査読付き論文1編,査読付き国際会議予稿1編の出版と,査読なし国際会議1件,国内学会・研究会等6件と,これまでに得られている成果を精力的に発表することで,国内外の様々な研究者と議論・意見交換をし,多数の有用なフィードバックを得た.
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