超弦理論に基づいて提案されたゲージ・重力対応を用いれば、量子色力学(QCD)におけるクォーク・グルーオンプラズマなどのダイナミクスを古典重力理論によって簡単に解析することが可能となる。この対応関係に基づいて場の理論における動的現象の諸性質を解明することを目標として、1. AdS時空で運動する点粒子と弦の運動が示すカオス性について、2. 摂動伝搬の非線型効果と特異点形成の2つの課題について研究を行った。前者については、この系においてはカオス的振る舞いが発生してその強度は系の温度に関係していること、後者については、この系では衝撃波形成現象が抑制されるという良い性質が存在することが判明した。
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