研究課題/領域番号 |
16H06935
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
矢地 謙太郎 大阪大学, 工学研究科, 助教 (90779373)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | トポロジー最適化 / 最適設計 / 設計工学 / 数値流体力学 / マイクロチャンネル / ヒートシンク / 大規模並列計算 |
研究実績の概要 |
マイクロチャンネルヒートシンク(MHS)は、コンピュータのマイクロプロセッサ等の液冷式冷却装置として利用されつつあり、従来の空冷式ヒートシンクと比較して、高い冷却効率を有する。近年、電子部品の熱流の増加に伴い、空気冷却だけでは集積回路の適切な動作温度を維持することが困難になっていることから、MHSは次世代の冷却装置として期待されている。 本研究では、これまでにない革新的なMHSの設計案の創成を目的として、MHSの内部流路を対象としたトポロジー最適設計法を構築する。MHS設計において重要な評価関数である熱交換効率や圧力損失等について多目的最適化計算を行い、膨大でかつ多様な最適解を効率的に創成するために超並列計算機を援用した大規模トポロジー最適化アルゴリズムを開発する。また、MHS設計において重要となるホットスポットの緩和や、幾何学的な寸法の変更など、MHSの高性能化に繋がる設計因子を洗い出し、それらを最適化問題に組み込むことによって、MHSのさらなる高性能化が見込めるか検討する。そして、得られた知見をもとにMHSの概念設計支援のためのフレームワークを開発し、本研究の有効性を検証する。 本年度は、二次元モデルを対処としたMHSのトポロジー最適設計法を開発し、各種最適化パラメータの適切な設定、ならびに得られた最適解の物理的考察に重点を置き研究を遂行した。また、大規模最適化計算のベンチマークとして単純な流路設計問題を対象として最適化アルゴリズムを開発し、その妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MHSの二次元モデルを対象として、熱交換効率最大化と圧力損失最小化を同時に考慮したトポロジー最適設計法を構築し、数値的な安定性をある程度確保した上で、最適解を創成することが可能なアルゴリズムを開発した。三次元モデルについては、圧力損失最小化のみを考慮した最適化問題において、大規模並列計算によって極めて効率的に最適解の探索が可能となった。 当初予定していたホットスポットの緩和やMHSの幾何学的な寸法に関する評価関数については未だ検討できてはいないものの、MHSの抜本的な高性能化にむけて、概念設計支援のフレームワークの基礎となる研究は概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、当初の予定通り大規模並列計算の実装に重点を置き、膨大かつ多様な最適解を効率的に創成できる大規模トポロジー最適設計法を構築する。昨年度までに構築したMHS設計のための二次元モデルと、圧力損失最小化を目的とした大規模三次元モデルをもとにMHSの三次元モデルを構築し、超並列計算機により、これまでにない革新的なMHSの設計案の創成を目指す。えられた知見をもとにMHSの概念設計支援のためのフレームワークを開発し、様々なパラメータ設定の下で最適化計算を実施することで、本研究の有効性を検証する。
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