マイクロチャンネルヒートシンク(MHS)は、コンピュータのマイクロプロセッサ等の液冷式冷却装置として利用されつつあり、従来の空冷式ヒートシンクと比較して、高い冷却効率を有する。近年、電子部品の熱流の増加に伴い、空気冷却だけでは集積回路の適切な動作温度を維持することが困難になっていることから、MHSは次世代の冷却装置として期待されている。 本研究では、これまでにない革新的なMHSの設計案の創成を目的として、MHSの内部流路を対象としたトポロジー最適設計法の基礎構築を目的として研究を実施した。MHS設計において重要な評価関数である熱交換効の率最大化と、流路デバイスとして重要な圧力損失の低減・制御を目的とした最適化計算を行い、超並列計算機を援用した大規模トポロジー最適化アルゴリズムを開発した。そして、得られた知見をもとにMHSの概念設計支援のための基礎的なフレームワークの開発を検討し、本研究の有用性を確認した。 最終年度は、前年度までに構築した二次元モデルを対象としたMHSのトポロジー最適設計法に基づき、大規模最適化アルゴリズムを開発し、スーパーコンピュータを用いて非定常熱流体場における最適化構造の創成に成功した。また、提案手法の応用展開として、フロー電池の流動場を対象とした方法論の構築も行い、MHSと同様に有望な最適化構造の創成が可能であることを明らかにした。本年度に得られた成果については、構造最適化分野のトップジャーナルであるStructural and multidisciplinary Optimizationに2報投稿し、いずれも掲載された。
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