研究実績の概要 |
Arg-BCPについて、N末Hisタグの後ろにSUMOタグを付加したコンストラクトを構築したところ可溶性タンパク質として発現できたので、結晶化可能な程度にまで精製をすすめ、UV-visスペクトル等のデータを取得した。しかしながら、本研究計画提出直後に、別のグループによってArg-BCPの構造が報告されてしまったため(Hosseinzadeh et al. JACS, 2016)、これ以上の研究遂行を断念した。 CinAの大腸菌での大量発現系を構築し、微結晶も得られたが、500 mg/mLという極めて高濃度サンプルが必要であり、結晶素性の改善が困難であった。そこで可溶性を下げる目的と、結晶内での分子接触面積を大きくし結晶化を促進する目的で、マルトース結合タンパク質(MBP)タグをC末端に付加したコンストラクトをあらたに作製した。ところがこのサンプルを用いて結晶化をおこなっても結晶素性の改善には至らなかった。次に、N末端にMBPタグを付加し、さらにフレキシブルな領域を除いたコンストラクトを作製した。このコンストラクトも高純度での精製ができたので、現在結晶化に取り組んでいる。 Tan-BCPは膜貫通へリックスを有するが、本研究はBCPドメインに着目するため、まずは、可溶性のタンデムBCPドメインのみを発現・精製した。Arg-BCPと同様にSUMOタグを付加することにより、可溶性タンパク質としての発現を試みたところ、発現量は少ないが、発現自体は確認できた。今後、精製条件や結晶化条件を検討する予定である。
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