研究課題/領域番号 |
16H06941
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷 拓明 大阪大学, 薬学研究科, 特任助教(常勤) (80779926)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | エピトランスクリトミクス |
研究実績の概要 |
ABHファミリーノックダウンHeLa細胞を樹立し、この細胞における増殖能についてWST-8を用いて検証するとABH2、6ノックダウンHeLa細胞において有意な増殖能低下が認められた。また、遊走能をwound healing assayにより検討すると、ABH2、3、5、7、8、9ノックダウンHeLa細胞において運動性低下が見られた。 ABHファミリーノックダウンHeLa細胞から200 nt以上のRNAと200 nt以下のRNAを分離抽出し、タンデム四重極型質量分析計による各塩基の修飾レベルを定量した。結果、ABH1ノックダウンHeLa細胞の200 nt以下RNAにおいて5-hydroxymethylcytosineの低下及び、ABH6ノックダウンHeLa細胞200 nt以下RNAにおけるN6-methyladenosine量低下が見られた。ABH6はこれまで機能解析の報告のない機能未知分子であり、ノックダウンによる表現型やRNAメチル化レベルの変化が認められた結果は意義深いものであると考えられた。 ABH6ノックダウンHeLa細胞より200 nt以上と以下のRNAを抽出しこれらとABH6カイコリコンビナントタンパク質と反応させた後、質量分析計によって各修飾ヌクレオシドを定量化し、ABH6酵素活性の有無を検証した。結果、200 nt以下のN6-methyladenosine量に変化はなく200 nt以上のRNAに含まれる1-methylguanosine量の増加が見られた。 これらの結果は、ABH6が200 nt以上のRNAに含まれるグアニン修飾に関与する可能性と、ABHノックダウン細胞を用いた検証では必ずしもABHの直接的基質を探索する目的には適さない可能性を示唆している。この現状を踏まえるとRNAの鎖長で分離している方法から基質となる配列を同定する検討が必要であると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ABHファミリーノックダウンHeLa細胞のRNAおよび癌臨床検体由来RNAの修飾解析修飾解析に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
ABHファミリーノックダウン細胞由来RNAから質量分析計でRNA修飾を定量比較したが、様々なRNA種が混在するサンプルを用いた検討では精確な実験結果が得られないという課題が浮かび上がった。そこでRNA修飾の生理的機能についてより理解を深めるために、ABHが制御するRNAを直接探索する方策が効果的であると考える。すなわち、ABHファミリー会合RNAを探索し、会合RNAについての修飾をABHリコンビナントタンパク質との反応あるいはABHファミリーノックダウン細胞においての修飾量を検証する。
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