研究課題
本研究では、各試験化合物と腎尿細管からの経上皮性の有機アニオン排泄を担う有機アニオントランスポーターOAT1(organic anion transporter 1)との相互作用の解析において、アフリカツメガエル卵母細胞発現系とともに、OAT1を安定発現させた培養細胞株を作製し、OAT1の基質である[14C]パラアミノ馬尿酸の取り込みに対するIC50値と、前負荷した[14C]パラアミノ馬尿酸の試験化合物による放出を検討し、基質結合部位への親和性とともに、輸送活性そのものを評価した。SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)に用いられるL-[3-I]-α-methyltyrosine(IMT)は、FAMTのフッ素をヨウ素に置換したものであり、FAMT同様癌特異性が高いが、FAMTと同様に唯一の生理的集積は腎臓である。この両者ともに、OAT1の基質であることが明らかになった。これが腎集積の原因であることが示唆される。これに対して、同様に癌に集積するが腎集積性の低いL-4-iodo-metatyrosine(4-I-mTyr)は、OAT1による輸送活性が低いこと明らかになった。これは、FAMTやIMTの腎集積がOAT1による尿細管上皮細胞への取り込みに起因することを支持するものである。IMTと4-I-mTyrの構造上の相違に基づき、化合物の構造活性相関を検討した。その結果、両者の大きな相違点あるαメチル基の有無は、OAT1との相互作用に寄与しないことが明らかになった。これは、FAMTとそのαメチル基を欠いた3-fluoro-L-tyrosine(3FT)のOAT1との相互作用の解析においても確認された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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