近年、癌のα線内用療法に用いる核種として211Atが注目されている。211Atと同じハロゲンの18Fを持つFAMT(L-[3-18F]-α-methyltyrosine)は癌特異性に優れたPETプローブであるため、α線内用療法において211Atを送達する化合物の基本骨格として有望である。しかし、FAMTは正常組織の中で唯一、腎臓に集積を示す。本研究では、FAMT類似の芳香族アミノ酸誘導体を用いて、腎近位尿細管の有機イオントランスポーターとの相互作用に寄与する分子内構造を解明した。この成果は、癌特異的でかつ腎集積を低減させた、α線内用療法に適した化合物の創製に繋がるものと期待される。
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