研究課題/領域番号 |
16H06961
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
東山 亮 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (50781663)
|
研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
キーワード | 歯科 / 睡眠 |
研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズムは睡眠中にリズミカルな咀嚼筋活動を多発する睡眠障害で、歯科的には咬耗や顎関節症など、様々な臨床的な問題を引き起こす現象である。しかし、その発生機構はいまだ不明である。本研究は、睡眠時ブラキシズムの発生に関する生理学的機構の一端を実験動物を用いて明らかにする研究である。H28年度は、脳内電気刺激によって誘発できるリズミカルな顎運動の生理学的特性を明らかにするため、刺激電極を埋入した実験動物を作成し、自由行動下の実験動物の錐体路に連続微小電気刺激を与え、刺激に対する筋活動の生理学的特性を解析した。その結果、ノンレム睡眠・レム睡眠では、リズミカルな顎運動の応答性、筋電図パターンに差を認めたほか、運動誘発時の脳波や心拍数の変化が異なる可能性を認めた。また、顎運動リズム発生機構の興奮性を修飾する可能性があるストレス負荷の実験技術を確立するため、実験動物に微小電流を用いたFootshockストレスを与えて、ストレス負荷後の行動変化を筋電図学的に分析した。その結果、Footshockストレスに対する咀嚼行動の変化に個体差を認めたが、非機能的な咀嚼筋活動の発生様態はストレスに影響を受ける可能性を得た。これらH28年度の研究成果から、自由行動下の実験動物の覚醒・睡眠中にリズミカルな顎運動を誘発する実験技術の妥当性と、顎運動リズム発生機構の興奮性を修飾する可能性がある生理学的因子としてストレス負荷を用いる有用性を検証することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、研究代表者が大学院時代に実施した、脳内電気刺激を行う研究方法を確立し発展させ、応用を図るものである。当初の研究計画のうち、研究方法を確立させることができ、研究成果を国内・国際学会で発表することができた点で、事前の研究計画は達成した。しかし、ストレス負荷を組み合わせる実験のための実験条件の決定に検討の余地がある。以上からH28年度はその目的をおおむね達成できたと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
H29年度は、H28年度の実験成果の論文発表に向けた作業に取り組むとともに、ストレスが顎運動リズム発生機構に対してどのように作用するか調べるため、本研究手法をストレス負荷実験に応用するとともに、ストレスに関連する脳内部位を電気刺激する実験手法にも取り組み、睡眠実験に応用していく予定である。
|