本研究課題ではPLAP-1の脂肪分化及び肥満病態への関与、歯周病の発症・進行への影響について細胞レベル、分子レベルで検討を行っている。平成28年度の研究成果について以下に報告する。 まず、siRNA (small interfering RNA)を用いて脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞のPLAP-1を ノックダウンし、脂肪分化誘導を行った結果、脂肪分化関連遺伝子であるAdiponectin及びFabp4の発現が低く、脂肪滴の形成も低下することが明らかとなった。また、PLAP-1アデノウイルスを3T3-L1細胞に感染させることで作製したコンディションメディウム存在下にて3T3-L1細胞の脂肪分化誘導を行った結果、Adiponectin及びFabp4の発現は高く、脂肪滴の形成も上昇した。これらの結果より、3T3-L1細胞においてPLAP-1が脂肪分化を促進することが明らかとなった。 次に、 野生型(WT)及びPLAP-1ノックアウト(PLAP-1 KO)マウスの脂肪由来脂肪前駆細胞における細胞外基質たんぱく(ECM)の発現をReal-time PCR法により比較した結果、ECMの発現がPLAP-1 KOマウスで低いことが明らかとなった。この結果より、PLAP-1 KOマウスの脂肪組織において繊維化が抑制されていることが明らかとなった。 さらに、トリグリセリドを脂肪滴として脂肪細胞に取り込むLipoprotein lipase(LPL)活性をWT及びPLAP-1 KOマウスの脂肪組織及び血清において検討した結果、差は認められなかった。
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