研究課題/領域番号 |
16H06964
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 智美 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (70779107)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 歯学 / 発現制御 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、低酸素状態で発現が亢進する歯根膜特異的分子PLAP-1が歯根膜組織の低酸素応答に担う役割について検討を行っている。平成28年度の研究成果について以下に報告する。 1)低酸素下でのPLAP-1の発現に関する解析 低酸素下で培養したヒト歯根膜細胞において、低酸素誘導因子HIF-1alphaの発現が上昇していた。予備実験で認められた低酸素下でのPLAP-1の発現上昇がHIF-1alpha誘導性のものであるかを検討するため、HIF-1alphaの分解抑制剤(Deferoxamine)とHIF-1転写活性阻害剤(chetomin)を用いてHIF-1alpha発現亢進時、HIF-1転写活性抑制時のヒト歯根膜細胞におけるPLAP-1の発現量を解析した。HIF-1alpha発現亢進時にはPLAP-1の発現は上昇し、HIF-1転写活性阻害時にはPLAP-1の発現は低下した。次に、臼歯間に矯正用のエラスティックゴムを挿入し、矯正力をかけることで歯根膜を低酸素状態にしたマウスの顎骨を採取し、作製した切片を用いて低酸素状態の歯根膜組織におけるHIF-1alphaの発現に関して免疫組織学的解析を行った。圧迫側の歯根膜組織は低酸素状態となっており、さらにHIF-1alphaの発現亢進が認められた。以上の結果から低酸素下ではHIF-1誘導性にPLAP-1の発現が上昇することが示唆される。 2)歯根膜の低酸素応答におけるPLAP-1の役割に関する解析 低酸素により誘導されるPLAP-1が歯根膜の低酸素応答にどのような影響を及ぼすのかを検討するために、ヒト歯根膜細胞にsi RNAを導入することによりPLAP-1抑制細胞株を作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度には低酸素下でのPLAP-1の発現上昇メカニズムへの低酸素誘導因子HIFの関与が強く示唆される結果が得られた他、si RNA導入によりPLAP-1抑制ヒト歯根膜細胞株の作製が完了したため、研究計画はおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス歯根膜低酸素モデルを用いてin vivoでの歯根膜の低酸素部位におけるHIF-1alphaの発現とPLAP-1の発現の相関性について解析を行う。一方で作製が完了したPLAP-1抑制ヒト歯根膜細胞に加えて、PLAP-1強発現細胞株の作製を行い、PLAP-1が歯根膜の低酸素応答に如何なる役割を担っているのかを検討する。
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