本研究は重訳の事例における誤訳を分析し原因別による誤訳の分類法を検討した。それは音韻論的誤訳、語形論的誤訳、統語論的誤訳 、意味論的誤訳である。この分類は個人差や主観性を乗り越え、誤訳を客観的に概括できるため、通常の翻訳にも適用できる。その中で意味論的誤訳を中心に考察し、次の点が明らかにした。意味論的誤訳には、目標言語では意味が完全に理解できない即ち意味が不明な翻訳いわゆる「絶対誤訳」、目標の言語・文化で理解できるが、読み取った意味が起点の言語・文化では等価ではないのが「相対誤訳」とする。これらの誤訳を修正する際に、機械翻訳でも人手による翻訳でも三視点対照の翻訳法は非常に有効と明らかになった。
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