研究実績の概要 |
本年度は、①早産児マウス敗血症モデルの作成、および②Hemeによる薬物的HO-1誘導療法の保護効果の検討を行った。 早産児マウス敗血症モデルの作成は、成獣マウスの虫垂内容物からCecal Slurry(CS)を作成し、免疫学的にヒト早産相当の4日齢マウスに投与することで行い、CS用量依存性の死亡率増加(1.0mg/g 0%, 1.5mg/g 8%, 2.0mg/g 41%, 3.0mg/g 75%, 4.0mg/g 100%)を確認した。以降の検討は40%致死量(LD40)のCS 2.0mg/g BWを投与することとした。 本モデルでは、対照群と比較して体重減少(-2.1±6.2, vs. 21.5±8.2%)、白血球(2821±931 vs. 6298±1806 per microL)・血小板減少(204±82 x103 vs. 613±118 x103 per microL)、肝臓における炎症性サイトカイン遺伝子(Ccl5, Cxcl10, IL-1a, IL-1b, Tnf, Ifng)の発現増加を認め、ヒト早産児敗血症の病態をよく反映しており、その病態解析に有用であることが分かった。 次に、確立されたHO-1誘導薬であるHeme(30 micro mol/kg)を、3日齢の野生型マウスに皮下投与し、24時間後(4日齢)に敗血症を誘導することで薬物的HO-1誘導の保護効果を検討した。 Heme投与24時間後の肝臓HO活性(496±85) はVeh群(302±41)と比して64%増加していた。また、Hemeによる薬物的HO-1誘導は、敗血症死亡率を改善させ(41→6%)、体重増加を改善し(7.0±10.0, vs. -2.1±6.2%)、脾臓細菌数を減少させることに加え、肝臓炎症性サイトカイン遺伝子発現を有意に減少させた。
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