研究課題/領域番号 |
16H06973
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
戸田 まどか 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (90388695)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 睡眠覚醒リズム / 早産児 / 母親 / 産後うつ / QOL |
研究実績の概要 |
本研究では、早産児をもつ母親と正期産児をもつ母親に対し、出産後早期から産後6か月までの期間における睡眠覚醒リズムと生活の質(Quality of life:QOL)および産後うつとの関連を調査・分析する。それによって、特に早産児をもつ母親に対する産後うつ傾向の早期発見と予防的支援につながる看護モデルの開発につなげることを研究の目的としている。 産後の睡眠問題は、分娩に伴うホルモンバランスの変化から、マタニティ・ブルーズやその後の産褥うつ病とも深い関わりがあるとされている。特に児がNICUへ入院している母親の場合、予想外の出産や児の治療の必要性、思い描いていた児の姿や育児とは異なる現状に多大なストレスと不安を抱き、心理的負担が多いことが指摘されている。それらが日常生活に影響を及ぼし、睡眠障害、慢性的な疲労感、マタニティ・ブルーズや産褥うつ病へとよりつながりやすくなる要因とも考えられる。そのようなことから、子どもがNICUに入院中の早期から母児および家族への支援を行っている看護者が産後うつ傾向につながる母親の生活の変化をより早期にキャッチして予防的支援を行うことは、新たな家族の役割形成を支援し、退院後のよりよい家族生活へとつながる意義のある支援となると考える。 平成28年度の調査開始にあたり、まず今までの資料を基に新たな文献検討を行った。それによって、調査開始時期である産後2週目からその後の産後6か月までの縦断的変化を検討していく「エジンバラ産後うつ病自己評価表」を統一して用いた方が縦断的調査における比較や検討が行いやすいと考えたため、調査内容の一部を変更・修正の上で本学倫理委員会へ研究内容を提出し、承認を得た。承認を得た後、調査依頼施設の看護部および対象となるNICU/GCU病棟の師長、副師長への調査依頼および調整を重ね、2月末より実際の調査を開始したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査を開始したものの、施設の状況から現在までに対象となる母親が得られていない状況である。理由としては、施設での入院件数が少ない状況であること、対象となる母親は数名いるものの心理的状態から産後2週目前の時期に依頼するのは難しいことが挙げられている。その原因としては、大学病院の総合周産期センターに属するNICU/GCU病棟であることから、母親および新生児自身において他の問題や疾患を抱えたよりリスクの高い母子が入院している可能性が高いこと、また一方で母体状況が早期より管理されやすいこともあり、胎児管理が良好になされていることも入院数が少ない要因の1つとして考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現在の状況から、既に依頼をしている施設に対しては対象者への初回研究依頼時期を「産後2週目から1か月」と幅を持たせた時期に変更し、新たに対象者の心理状態が少し安定してきていると思われる時期での依頼を行うこととした。更に別の施設として、他のNICU/GCU施設を対象施設として含めることとし、調査を依頼中である。また、正期産児の母親への調査依頼に関しては、現在近隣の産科クリニックへ調査依頼を行っている状況であり、今後も必要性があれば他施設への依頼を検討し、研究を進めていく予定である。
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