目的:早産児及び正期産児を出産した母親の産後早期からの産後うつ傾向と睡眠に関する縦断的変化を調査し、特徴を検討した。 方法:対象者を①早産児②正期産児を出産した母親とし、産後2週、1か月及び①の母親は児退院後1か月を含めた時点で調査を行った。調査内容は、睡眠指標としてアクチグラフ、睡眠日誌、心理的指標としてPSQI、EPDSを用いた。 結果:①対象者3名、各指標の中央値(範囲)は、児の在胎週数33w2d(33w2d-33w5d)、児の退院時生後日数30(30-37)日であった。EPDSでは基準を超える母親が産後2週に1名いた。PSQIでは基準を超える母親が産後1か月1名、児退院後1か月1名おり、異なった母親であった。睡眠に関しては、全員睡眠効率が児の入院中より退院後の方が低下していた。②対象者6名であった。EPDSが産後1か月、PSQIは産後2週及び1か月で基準値を超える母親が1名おり、睡眠効率も産後2週に低値を示した。睡眠に関しては、産後1か月に比べ2週の方が総睡眠時間に個人差を認めた。 考察:早産児は生後早期に不安定な場合が多く、今回1名が産後2週でのEPDSが高得点であり、児の状態による心理的影響が考えられた。一方他の母親のEPDSは問題なく、児の出生時週数や退院時期を考えると比較的状態が安定していた可能性もあり、母親自身の特性だけでなく児の状態も影響することが示唆された。一方で正期産の母親の場合、産後2週では児の状態に合わせた睡眠・活動パターンを獲得できないことによる睡眠時間の個人差が考えられた。産後1か月でEPDS高値を示した母親は、産後2週及び1か月のPSQIも高値であり、産後2週の総睡眠時間自体は他者と違いはないものの産後1か月では減少し、睡眠効率も低かった。これにより産後早期からの総睡眠時間だけでなく、睡眠の質の低下も産後のうつ傾向に関連する可能性が示唆された。
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