研究課題/領域番号 |
16H06975
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
龍野 洋慶 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (70782134)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 老年看護 / 介護 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、本研究課題に関して海外論文による文献検討を行い、平成28年12月に第36回日本看護科学学会にて英語セッションポスター(Association between sleep and health/psychosocial factors for caregivers: a review of the literature focusing on actigraphy)で成果発表を行い、当該分野の研究者との情報交換及び調査方法や質問項目を検討し、活動量計を使用した客観的な睡眠・活動の評価は新規性が高いことが確認された。次に、文献検討の結果から、本研究課題に関する必要な調査項目を選定し、本研究の平成28年度の計画に沿い、調査用紙と測定機器(ActiGraph社GT9X+、OMRON家庭血圧計)を平成29年1月までに準備を完了し、神戸大学大学院保健学研究科内の倫理審査による承認を得た。平成29年2~3月にベースライン調査である第1波調査を実施し、研究対象地域に所在する社会福祉法人のデイサービスセンター、ショートステイホーム、ケアプランセンター、訪問看護ステーション、介護教室、家族介護者の会に研究調査の承諾・協力を得て現時点で18組36人の在宅介護保険サービスの利用者と家族介護者へ家庭への訪問調査が完了している。活動量計(3軸加速度計であるActiGraph)を用いた2週間の連続モニタリングによる睡眠・活動量の測定、家庭血圧の測定、心理尺度及び介護負担感を調査した。現在、入力作業と統計解析用データテーブル作成を研究補助員を雇用して進めた後、解析をすすめており、本研究結果を国際学会及び国際誌へ投稿予定である。加えて、本研究に関心を持つ海外研究者からの共同研究の依頼があるため、今後、国際比較研究を推進していく可能性が見出されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、在宅における家族介護者の介護負担感の要因に関する縦断研究をするものであり、平成28年度に予定していた調査項目の選定(日本語版Zarit介護負担尺度、ピッツバーグ質問質問票日本版、日本語版PANAS、老年期うつ病評価尺度、日本版老年的超越質問紙改訂版、WHO-5精神健康状態表簡易版など)、調査用紙と測定機器(ActiGraph社GT9X+、OMRON家庭血圧計)を平成29年1月までに準備を完了し、平成29年2月~3月に追跡調査の第1波調査を実施した。質問紙は全て日本語版の質問紙管理者に使用依頼を送り、承諾を得た。また、本研究の倫理的配慮として、神戸大学大学院保健学研究科内の倫理審査による承認を得た後、平成28年度時点で18組36人の地域在住の在宅介護サービスの利用者とその家族介護者が研究調査に参加している。対象者数の目標数に到達するよう、引き続き研究対象地域に所在する社会福祉法人のデイサービスセンター、ショートステイホーム、ケアプランセンター、訪問看護ステーション、介護教室、家族介護者の会に研究調査の協力をつのり、参加者を増やしていく予定である。本研究は、3軸加速度計を用いた2週間の連続モニタリングによる睡眠・活動量の測定、家庭血圧の測定、心理尺度及び介護負担感尺度を用いて心の変動に着目した調査をしているため、膨大な個人内データを収集できており、現在は第1波調査のデータの入力作業と統計解析用データテーブルを作成中であることから、進捗状況としては平成28年度の研究計画調書における計画がおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の方向性としては、本研究は研究対象者数を100組200人の地域在住の在宅介護サービスの利用者とその家族介護者を予定しているが、平成28年度時点ではその目標値に到達していない。このため、平成29年度は更なる対象者選定を研究協力先である社会福祉法人だけではなく近隣のデイサービスセンター、ショートステイホーム、ケアプランセンター、訪問看護ステーション、介護教室、家族介護者の会などに依頼・研究説明を実施していく。 本研究は縦断研究であるため、引き続き第2波調査(平成29年5~6月)、第3波調査(平成29年8月)を予定している。縦断研究では、脱落者が生じる可能性があるため、新規研究対象者を選定するだけではなく、継続参加できるよう対象者の都合に合わせた調査スケジュールが必要である。平成28年度は、測定機器(ActiGraph社GT9X+、OMRON家庭血圧計)が十分に購入できなかったため、研究対象者から研究協力の承諾を得た後に待機する期間が生じたため、平成29年度は予定通り新規購入し、円滑な追跡調査を実施できるようにする必要がある。 現在は、第1波調査(平成29年2~3月)のデータ入力作業と統計解析用データテーブルを作成中である。今後、本研究の第1波調査で介護負担感に関連する要因を検証し、第2波調査、第3波調査による縦断的な関連(変化の個人差や個人内変動)についてのマルチレベル分析を行い、それらの結果を国際学会及び学術誌に研究成果を発表する予定である。加えて、本研究に関心を持つ海外研究者からの共同研究の依頼があるため、今後、国際比較研究を推進していく可能性がある。
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