自然リンパ球は、Tリンパ球やBリンパ球とは異なる性質を持つ、新たなリンパ球のサブセットである。加えて、自然リンパ球は抗原を認識する受容体を発現せず、インターフェロン(IFN)やインターロイキン(IL)など、さまざまなサイトカインを産生する。自然リンパ球はサイトカインの産生能により3つのグループに分類される。1型自然リンパ球はIFN-γを、2型自然リンパ球はIL-5やIL-13を、3型自然リンパ球はIL-17やIL-22をそれぞれ産生する。2型自然リンパ球は、末梢血中にわずか0.02%程度の希少な細胞であるにも関わらず、気管支喘息やアトピー性皮膚炎の炎症局所で増加していることが確認されるなど、アレルギー性炎症の病態形成に重要な役割を果たすと考えられている。他方、皮膚のバリア機能に関して最も重要な構造は、ケラチノサイトである。ケラチノサイトは物理的なバリアとしてタイトジャンクションを発達させている。こうしたタイトジャンクションバリアの破綻は、アトピー性皮膚炎をはじめとするアレルギー性皮膚疾患の増悪に関与するといわれている。したがって,アレルギー性炎症に関与する、2型自然リンパ球による皮膚バリア制御機構を解明することは、アレルギー性皮膚疾患の病態解明に重要であると考えられる。しかしながら、皮膚バリアにおける2型自然リンパ球の役割については未解明である。本研究では,2型自然リンパ球による皮膚バリア制御機構を解明することを目指した。本年度は、自然リンパ球とケラチノサイトとの共培養システムを用いて、自然リンパ球によるケラチノサイトへのバリア機能や自然リンパ球のサイトカイン産生性について検証した。
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