研究実績の概要 |
本研究では、注意を向けるべき目前の課題とは別の内的な事象についてぼんやりと思考するマインドワンダリング (MW) をテーマとした。前年度投稿中であった論文は受理され、安静時脳活動に与えるマインドワンダリングの影響が明らかになった (Kawagoe et al., 2017)。 次年度の研究は、経頭蓋磁気刺激法を用いてMWを操作することであった。本研究課題の実施中に同様の目的を設定した研究が発表されたが (Kajimura et al., 2016)、本研究ではさらに行動課題成績との関係も調査する予定だったため、当該論文を参考にまずは行動実験での再現を試みた。残念ながらこの再現は失敗に終わり、申請者の環境ではtDCSによってMWを減少させることはできなかった。パラメータを変更し2度めの検証を行なったが、それも失敗に終わった。これらのことは、tDCSでの認知機能への影響はほとんどないとするメタ分析 (Cooney Horvath et al., 2015) と整合するもので、効果量が小さいのではないかと考えられた。 次年度目後半より、MWの内容に着目した研究を開始した。MW中は様々なことを思案すると考えられるが、その内容ごとの神経活動や結合をみた研究は見当たらない。MWの状態によって脳活動パタンが異なることがわかれば、MWの検出などに貢献できると考えた。現段階でデータ測定を終え、これから解析に移るところである。
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