研究実績の概要 |
口腔がんは高頻度に骨に浸潤し、骨痛により患者のQOLを著しく低下させる。がんの発生、進展には血管新生が必須であるが、血管新生に先行、連動する神経新生が、がんの増大において果たす役割は、ほとんど不明である。申請者らはがん細胞が産生するある種の神経誘導因子が骨髄内における神経軸索の伸長, 知覚神経の興奮を介してがんの増大を促進することを報告した(Cancer Res)。本研究では多数の神経終末を有する骨における口腔がんの浸潤、転移に対する痛覚神経の関与を神経誘導因子であるMidkineに着目し検討した。 MK高発現株4T1培養上清を知覚神経細胞に添加し、RNAを回収し遺伝子変化をPCRアレイにより検討すると、疼痛に関与する様々な遺伝子(プロスタグランジン合成酵素、ブラジキニン受容体等)の増強を認めた。またMKを知覚神経細胞株に添加すると、神経軸索の伸長を認めた。 口腔扁平上皮癌細胞株(HSC2、SAS)、MK高発現細胞株H441 を用い、これらの癌細胞におけるMidkine, Syndecan, PTPz, ALKの発現量を検討した。HSC-2,SAS共にH441と同程度にSyndecan, PTPz, ALKの発現を認めた。HSC-2細胞をsiRNAを用いMK発現を抑制すると、細胞増殖能力が抑制された。またこの細胞の細胞上清を知覚神経細胞株50B11に添加するとMK発現抑制株培養上清はコントロール細胞株と比較し、神経軸索伸長が抑制された。iMDKは蛍光Tunnel染色とCaspase-3ウエスタンブロット法にて濃度依存的に口腔癌細胞株のアポトーシスを誘導すること確認した。
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