本研究計画は、不合理な信念、病的な信念の原因と結果について研究を行い、その成果を、国際的な学術雑誌、書籍にてアウトプットする試みである。
昨年度はプロジェクト1「妄想的信念の原因」を中心に研究を行い、本年度はプロジェクト2「信念と振る舞いとの不整合性」を中心に研究を進めた。本プロジェクトの目的は、Tamar Gendlerによるalief説の難点を克服する、信念と振る舞いとの不整合性についての新たな理論を提示することである。具体的には、Ruth Millikanが提示した「pushmi-pullyu representations (PPR)」(信念や欲求よりも進化論的に古く、また、人間以外の動物にも広く見られる種類の原始的な表象)というアイディアを導入することで信念と振る舞いとの不整合性がうまく説明されることを示し、同時に、このPPR説がalief説の難点を克服していることを明らかにする。
具体的な実績として、国内外にて精力的に研究発表や講演を行い(国内4回、国際4回)、そこで得られたフィードバックを分析、検討した。また、Alessandro Salice (UCC)との共著論文を執筆し、査読中である。さらに、昨年度より取り組んできた単著Delusions and Beliefs: A Philosophical Inquiry (Routledge)がほぼ完成し、2018年内の出版を予定している。
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