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2017 年度 実績報告書

グローバル化社会に相応しい入管法制の再構築――裁量的決定のプロセス分析を通じて

研究課題

研究課題/領域番号 16H07006
研究機関山口大学

研究代表者

服部 麻理子  山口大学, 経済学部, 准教授 (00625014)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード外国人の人権 / 出入国管理 / 裁量 / 在留特別許可 / ガイドライン / 不法在留罪 / 不法残留罪 / ジョセフ・カレンズ
研究実績の概要

国境をまたぐ「人の移動」について、(1)国内の雇用状況や社会保障への負担、国民統合の阻害といったマイナスの懸念による移民排斥傾向の再強化と、(2)不法移民の一括的正規化(適法化)の主張という、2つの相反する流れが観察されている。後者はさらに、(2-a)「移動の自由」という人権の価値を重視して入管法制の根本的な不当性を説く議論と、(2-b)長期不法滞在者の生活実態を尊重して滞在権を承認すべしとする議論とに分かれており、いずれも入管法制における各主権国家の裁量と衝突する。とりわけジョセフ・カレンズは近年、「不法滞在が一定期間を超えて社会的メンバーとなった者に対しては、退去強制処分をせずに一律に滞在許可を付与すべきであり、個別事例ごとの行政裁量的判断に委ねるべきではない」と主張する。そこで29年度は、かかる主張とそれに対する批判の内容を精査した上で、そのような一括的正規化が我が国の現行実定法制度において正当化されるかどうかを検討した。その結果、①不法移民に対する退去強制処分と刑事罰の双方が独立して運用され、とくに非正規入国者による不法在留および正規入国者による不法残留が継続犯として処罰される点、②入管法制が目的とする「国家の存立」は最大限の法的保護に値するものとして扱われているところ、不法滞在期間が長くなれば合法化されるとした場合には国家自体が入管法制を蔑ろにすることに繋がるため相応しくない点、③「社会的メンバー」としての実質が認められるか否か等は個別具体的判断にかかっており、在留を望む外国人自身に個別事情を主張させる手続の介在が必要である点などを考慮し、不法移民の一括的正規化は未だ正当化されないことを明らかにした。加えて、在留特別許可制度を改善し「在留特別許可に係るガイドライン」の役割を強化していく必要性を指摘した。以上の成果を雑誌論文として公表した。

現在までの達成度 (段落)

29年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

29年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 非正規移民による滞在権要求と入管法の目的――移民正義論におけるカレンズ教授の問題提起に応えて2017

    • 著者名/発表者名
      服部麻理子
    • 雑誌名

      山口経済学雑誌

      巻: 66巻4号 ページ: 45-80

    • オープンアクセス
  • [学会発表] 入管法の規制目的vs.外国人の生活実態―「家族生活の権利」の保障―2017

    • 著者名/発表者名
      服部麻理子
    • 学会等名
      第158回フランス行政法研究会

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公開日: 2018-12-17  

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