本研究においては、第一に、入管規制の目的の正当性を吟味し、日本の現行入管法に対する評価を行った。入管規制への批判論としては、移民正義論における道徳的権利主張に注目し、実定法制度における実現可能性を検討した。 第二に、フランスの入管法における裁量的行政決定に対する裁判統制基準を精査した。退去強制命令等の個別的行政決定の要件と、それに対抗しうる外国人の権利・利益を特定し、衡量の法理を明らかにした。 第三に、日本における入管法判例を分析し、現行法の問題点を明らかにした。とりわけ、退去強制令書発布処分に対する裁量審査に着目して、具体的な検討を行った。
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