研究課題
近年、食生活の欧米化により、牛肉や豚肉、またそれらから抽出した油脂を含んだ食物を摂取する機会が多くなってきている。この他、過食や運動不足等生活習慣の乱れから肥満による内臓脂肪の増大や脂質異常を認める日本人が多くなっている。肥満によるこの様な変化は、脂肪組織からの過剰な遊離脂肪酸の放出やアディポカインとして称される多様な生理活性タンパク質の分泌異常により、全身的な代謝異常や無菌性炎症反応を引き起こすと考えられている。この遊離脂肪酸、飽和脂肪酸は、内因性リガンドとしてToll様受容体を刺激し、遠隔組織で炎症シグナルを活性化する事が明らかになってきている。本研究では飽和脂肪酸がSSの病態を増悪する可能性を動物モデルで検討し、脂質異常症治療薬をSS治療へ応用をするための礎となる基礎研究を行った。具体的には1) SSモデルマウスにおいて、2ヵ月の高脂肪食負荷により、通常食群と比較し、唾液腺および涙腺のリンパ球浸潤を伴う組織破壊が増悪した。2) SSモデルマウスにおいて、2ヵ月の高脂肪食負荷により、通常食群と比較し、血中自己抗体価が有意に増加した。3) 高脂肪食負荷により、顎下腺において、アディポカインとして知られている serum amyloid A や lipocalin-2 が遺伝子およびタンパクレベルで発現上昇した。4) マウス唾液腺上皮細胞を単離し、in vitro で飽和脂肪酸処理をすると、serum amyloid A や lipocalin-2が遺伝子レベルで発現上昇した。以上から、飽和脂肪酸は生体レベルにおいてもSSの病態を増悪する可能性が示唆され、この結果は、血中脂質プロファイル改善という新たな自己免疫疾患の治療法開発につながると考えられる。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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