研究課題/領域番号 |
16H07034
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
菅沼 健太郎 九州大学, 人文科学研究院, 専門研究員 (00775835)
|
研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
キーワード | チュルク諸語 / トルコ語 / 現代ウイグル語 / カラチャイ語 / 音韻論 / 固有語 / 借用語 |
研究実績の概要 |
本研究課題ではチュルク諸語を主な対象とし、(1) 固有語・借用語間の共通点・相違点を生み出す音韻論的制約の記述を行うこと、さらに、(2) 各言語の諸制約を比較対照し、「音韻論的制約の支配力の強弱」に関する通言語的特徴を明らかにすること、の2つを目的としている。 本研究では当初トルコ語と現代ウイグル語に加え、カザフ語を対象とする予定であったが、カザフ語ではなく、エスキシェヒル・カラチャイ語の調査を行った。(エスキシェヒル・カラチャイ語はロシアからトルコ共和国内のエスキシェヒル県に移民してきたカラチャイ人によって話されており、現在消滅の危機に瀕している言語である。エスキシェヒル・カラチャイ語を対象とすることで、本研究は消滅危機言語の保存にも貢献できるものとなったと考えられる。) 以下に本年度の実績を述べる。エスキシェヒル・カラチャイ語では、トルコ語からの影響により、借用語にのみ現れる新しい音素が存在していることを明らかにした。また、これに関する研究発表を日本言語学会において行った。現代ウイグル語では固有語にみられるウムラウト現象に関する調査を行い、これに関する予備的考察を国内研究会で発表した。 さらに、対象の3言語すべてにおいて、アクセントに関する調査を行った。その結果、(1) トルコ語とエスキシェヒル・カラチャイ語においては固有語・借用語間だけでなく、固有語間でもアクセントに差異がみられること、(2) 現代ウイグル語では、固有語・借用語間であっても、固有語間であっても語彙間のアクセントの差異がみられないこと、という2点が示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、対象言語の変更はあったものの、下記の理由からおおむね順調に進んでいるといえる。 1. 3言語の調査を定期的に、かつ十分に行うことができているため。 2. 国内研究会に参加することで、情報発信、および他研究者との意見交換ができているため。
|
今後の研究の推進方策 |
3言語それぞれについてさらに調査研究を進め、データの分析を行う予定である。また学会発表などを通して成果を報告し、論文の執筆にも着手する予定である。
|