• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

中国都市部における家族のケアの外部化と資格化―家事・ケア労働者を中心に

研究課題

研究課題/領域番号 16H07036
研究機関九州大学

研究代表者

翁 文静  九州大学, アドミッションセンター, 助教 (80780072)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワードケアの外部化 / ケアの資格化 / 中国都市部 / 家事・ケア労働者 / 育児と介護 / 格差 / ケア実践 / 質的調査
研究実績の概要

具体的な内容:
1、文献収集に関しては、日本国内で入手できる先行文献とともに、中国現地での資料(教科書、一般図書等)を、トレーニングセンターや上海書城などにおいて収集した。その中で、本研究に深く関わる文献として、『介護・家事労働者の国際移動-エスニシティ・ジェンダー・ケア労働の交差-』『家政服務入門系列(日本語訳:家庭サービス入門シリーズ)』などがあげられる。2、Hトレーニングセンター及びRトレーニングセンターにおいて、育児嫂(日本語訳:子育て家政婦)を目指す女性たちとともに、養成訓練を受けた。その中で、35名の女性に対してインタビュー調査を行った。インタビュー調査の項目は主に(1)年齢、出身、家族構成などの属性、(2)子育て経験、(3)育児嫂を目指した動機/きっかけ、(4)仕事に対する希望、(5)将来の計画などである。3、家事・ケア労働者の派遣会社3社の経営者ら4名に対して、派遣の仕組みなどについてのインタビュー調査を行い、また、彼らの仕事ぶりや家事・ケア労働者との関わる様子も観察した。4、トレーニングセンターの講師ら3名に対して、インタビューや授業の様子の観察を行った。5、養老院(日本語訳:老人ホーム)に訪問し、養老護理員(日本語訳:ケアスタッフ)の女性にインタビューや観察を行った。
意義:
これまで中国都市部の家族のケアに関わる家事・ケア労働者や、彼女たちのケア実践に関するまとまった質的研究はほとんど見られない。本研究はその空白をうめるとともに今まさに生み出されつつある中国独自の新しいケア実態、実践を多面的、立体的に明らかにすることが可能である。また、本研究は、トレーニングの現場、ケアの現場を描き出すことによって、
ケアに関わる政治的権力や経済格差、また新旧ケア技術の背景構造と動態を質的手法で明らかにすることができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

上海市の最も規模の大きい家事・ケア労働者養成トレーニングセンター(Hトレーニングセンター)で育児嫂、養老護理員を目指す女性たちとともに、養成訓練を受け、調査を行うことを予定していた。しかし、2016年からHトレーニングセンターの経営状態が悪化し、当センターのスケジュール通りに養成訓練を行うことができなくなった。そのため、他のトレーニングセンターを探さなければならなかったが。幸いなことに、協力者の紹介で、最近盛んに家事・ケア労働者養成を行っているRトレーニングセンターで調査を再開することができた。
しかし、Hトレーニングセンターとの交渉、Rトレーニングセンターにたどり着くまで、多大な時間とエネルギーを要した。そのため、予定より、進捗状況はやや遅れている状況である。

今後の研究の推進方策

1、研究計画の変更:
平成28年度に、Hトレーニングセンターで育児嫂、養老護理員の養成訓練を受け、家事・ケア労働者になろうとする女性たち100名にインタビュー調査を行う予定だった。しかし、Hトレーニングセンターの経営状態の悪化のため、新たなトレーニングセンター(Rトレーニングセンター)で調査を行うことになった。トレーニングセンターとの交渉や調整のため、予定していた育児嫂養成訓練を受けたが、養老護理員の養成訓練の参加に間に合わなかった。そのため、平成29年度に、Rトレーニングセンターにおいて、養老護理員の養成訓練を受ける予定である。
2、研究方法の変更:
家事・ケア労働者によるケアの実践を探るため、平成29年度に、育児嫂、養老護理員になった家事・ケア労働者対して追跡調査を行い、彼女たちの働く様子や雇用者家族との関係を聞き取り、また観察する予定だった。しかし、インタビュー調査を行っているうちに、雇用者宅での観察は難しいことがわかった。最近、中国都市部でも、プラバシーが重視されること、家事・ケア労働者による子ども及び老人の虐待事件の多発がその原因である。そのため、家事・ケア労働者の働く現場を観察する調査方法をできる範囲で行いつつ、当事者への詳細なインタビュー調査を行い、観察できない分を補いたい。

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi