誰が所得税を負担すべきなのか。所得獲得活動に関係する複数人の間において、複層的な権利関係が存在する場合、法律関係に基づき経済的利得を集合・収斂する者を特定する作業が必要となる。経済的利得を集合・収斂する者に、所得の帰属が認められるのは、法治国家たるわが国において、法律関係に基づいてこそ、所得に対する支配が認められるからである。他方で、規律から逸脱する場合には、所得に対する支配、すなわち所得の帰属が法律関係に依拠せずに是認される場合も存在する。所得の帰属する者を決定するにあたっては、権利のラベルではなく、権利の効果を検討することが重要である。
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