組織免疫染色を行い、肝臓ではM2マクロファージのマーカーであるCSF1Rの発現が、脾臓ではM1マクロファージのマーカーであるiNOSの発現が高かった。肝臓及び脾臓からのマクロファージ、線維芽細胞の単離を行い、定量PCRを行ったところ脾臓由来の線維芽細胞でMMP12が、肝臓由来の線維芽細胞でcol1aやlamb1といった細胞外マトリックスの発現が亢進していた。Western Blottingでも、肝臓由来の線維芽細胞でosteopontinの発現が亢進していた。 次に線維芽細胞株であるHDFと、肝臓・脾臓それぞれから単離したマクロファージを共培養したところ、肝臓由来マクロファージと培養したHDFでfndc1やspp1、α-SMAの発現が有意に高かった。そこで線維化のマーカーとして近年注目されているWFA(+)-M2BPの発現を蛍光組織免疫染色で見たところ、発現しているのは肝線維芽細胞であった。 肝臓由来のマクロファージにreconbinant WFA(+)-M2BPを投与した場合と、肝臓線維芽細胞と共培養した場合にマクロファージにおけるMac-2の発現が有意に亢進したが、WFA(+)-M2BPをノックダウンした線維芽細胞と共培養しても発現しなかった。 肝線維化を促進する微小環境は肝由来のマクロファージと線維芽細胞が、WFA(+)-M2BPとMac-2の発現を介して促進している。今後は脾臓由来の細胞を解析し、肝臓における微小環境制御が可能か解析していく。またそれにより肝発癌を抑制し得るかも研究を進めていく。
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