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2016 年度 実績報告書

抗neurofascin155抗体関連脱髄疾患のフラグメント抗体による病態モデル

研究課題

研究課題/領域番号 16H07051
研究機関九州大学

研究代表者

緒方 英紀  九州大学, 大学病院, 助教 (90778838)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー / neurofascin155 / ファージディスプレイ / ランビエ絞輪 / フラグメント抗体
研究実績の概要

近年、ランビエ傍絞輪部に局在する細胞結合膜蛋白neurofascin (NF)155に対するIgG4クラスの自己抗体が慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー(CIDP)の一部で陽性になることが明らかとなってきた。本疾患は高度な神経肥厚を呈するため、しばしば難治性である。IgG4はin vivoでhalf molecular exchangeを起こすため、生体では1価の抗体として存在している。また補体結合活性がないため、認識する蛋白間相互作用を阻害することで病原性を発揮すると考えられている。本研究では抗NF155抗体陽性CIDP患者のリンパ球を採取し、全RNAからcDNAを調製後、免疫ファージ抗体ライブラリーを作成する。その後、ファージディスプレイ法を用いてヒトNF155特異的な一本鎖フラグメント(single chain variable fragment, scFv)を作製する。NF155特異的scFvを動物モデルへ移入することで病態を再現し、発症機序を解明し、画期的治療法を開発する。
当該年度は抗NF155抗体陽性CIDP患者より末梢血中のリンパ球を採取し、RNAを抽出した後に逆転写PCRによりcDNAを調整した。続いてリンパ球由来のcDNA(さまざまな配列をもつ抗体遺伝子プールを含む)から数十個存在するV領域の遺伝子を、配列が類似した遺伝子ごとに特異的なプライマー設定した後に、cDNAを鋳型としてVH遺伝子とVL遺伝子を個別にPCR増幅した。その後リンカーペプチド配列をコードしたリンカーDNAを用いてアセンブリPCRを行うことでランダムに連結させ、それをファージのコートタンパク質g3pのN末端側に融合タンパク質として発現するようにファージミドベクター内に組み換えた。それを大腸菌に形質転換後ヘルパーファージを用いてファージを回収することで、抗体ファージライブラリーを作製した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定より若干のおくれはあるものの、免疫ライブラリーは構築されているため今後は同ライブラリーを用いてヒトNF155特異的なscFvを選別・増幅(バイオパニング)する。

今後の研究の推進方策

作製したscFvをマウス・ラットに局所注射(坐骨神経、足底)または腹腔内投与し、抗NF155抗体陽性CIDP症例でみられる症状や各種検査異常が再現できるか臨床病理学的に検討する。ロータロッドやグリップテストによる運動機能評価、末梢神経伝導速度検査、坐骨神経や足底の皮膚神経の免疫染色による傍絞輪部の構造変化、浮腫、神経肥厚の有無を観察する。抗体の投与量と重症度が相関するかどうかも検証する。

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公開日: 2018-01-16  

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