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2016 年度 実績報告書

肝類洞様血管構造解析による肝細胞癌に対する肝移植後再発機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H07052
研究機関九州大学

研究代表者

原田 昇  九州大学, 大学病院, 助教 (80419580)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード肝細胞癌 / 類洞様血管 / 肝移植 / 再発
研究実績の概要

背景として肝細胞癌(HCC)切除標本において、一層の類洞様血管構造で囲まれる特殊な血管パターン(vessels that encapsulated tumor clusters; VETC)が存在するHCCサブタイプで脈管浸潤が起こりやすく、術後無再発生存率が不良であり、EMT(Epithelial-Mesenchymal transition)非依存的に血行性転移及び遠隔転移を来すためと報告された。HCCに対する肝移植後の検討は未だなされていない。今回の目的は類洞様血管構造をもつHCCと臨床病理学的因子、生体肝移植後肝癌再発形式及び予後について検討することである。対象はHCCに対し生体肝移植を施行した112例を検討した。
方法は提出しました書類にあるように①生体肝移植を施行されたHCC標本を用い、血管内皮マーカーであるCD34染色にて、類洞内皮に囲まれたHCC clusterの有無(VETC)を検討した。②VETCの有無と腫瘍マーカー、病期、脈管侵襲などの臨床背景因子を検討した。③VETCの有無と肝移植後全生存率、無再発生存率を検討した。結果は①VETC構造は17例(15.2%)にみられた。②VETC(+, 17例)と VETC(-, 95例)では、腫瘍径5cm以上(23.5% vs 7.3%, p<0.05)、分化度(n, 高分化:0 vs 10、中分化:7 vs 60、低分化:10 vs 25 ,p<0.05)、脈管侵襲有り(82.4% vs 33.7%, p<0.01)、術後病期(n, Ⅰ:0 vs 17、Ⅱ:1 vs 25、Ⅲ:8 vs 33、Ⅳa:8 vs 19, p=0.01)であり、VETC(+)では有意に腫瘍径が大きく、低分化で脈管侵襲があり、病期は進行していた。現時点では③5年無再発生存率、5年全生存率はVETC(+)とVETC(-)ではそれぞれ52.9% vs 85.0%( p<0.001)、70.1% vs 91.3%( p<0.01)と、VETC(+)群で有意に不良であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肝細胞癌に対する生体肝移植後の再発肝細胞癌ではVETC:類洞様血管を認め、VETC(+)では有意に腫瘍径が大きく、低分化で脈管侵襲があり、病期は進行していた。現時点で予後についてもVETC(+)群で不良である結果が現在得られつつあり、概ね順調に研究が進展していると考えられます。

今後の研究の推進方策

まずは①VETCの有無と肝移植後全生存率、無再発生存率を検討する予定である。②また生体肝移植を施行された肝癌標本を用い、血管内皮マーカーであるCD34染色にて、類洞内皮に囲まれたHCC clusterの有無を検討すし、上記HCC clusterの有無と、EMTとの関連を評価するために、E-cadherin、Vimentin、Snail、Slug、Twistを免疫染色し相関を検討する。
③上記HCC clusterの有無と肝癌再発後切除検体におけるclusterの相関を検討する予定としている。

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公開日: 2018-01-16  

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