研究実績の概要 |
本研究では石膏連通多孔体から炭酸アパタイト連通多孔体を調製し、迅速に骨に置換される炭酸アパタイト連通多孔体を創生することを目的とする。 平成28年度は硫酸カルシウム顆粒を調製、硬化させて連通多孔体を形成し、炭酸カルシウム連通多孔体を経由して炭酸アパタイト連通多孔体を形成した。具体的には、自己硬化性を有する石膏顆粒を作成した後に硬化させて二水石膏顆粒とし、溶解析出反応により炭酸アパタイトへと組成変換する。まず、硫酸カルシウム連通多孔体は硬石膏粉末に焼結助剤として10, 20%塩化ナトリウムを含有し、10%メタノールで練和後、100 MPa、室温、24時間乾燥させた。ふるい分けして目的のサイズの顆粒を得た後、水と練和して100%湿潤下、室温、24時間静置して二水石膏硬化体を得た。得られた硬化体を750℃で6時間加熱して無水石膏硬化体を得た。それぞれの反応は粉末X線回折(XRD)で追跡し、走査型電子顕微鏡(SEM)で多孔体構造を確認した。得られた無水石膏硬化体をpH 9に調製した炭酸ナトリウム溶液に浸漬し、90℃, 3時間反応した。XRDにより得られた炭酸カルシウム多孔体はカルサイトとバテライトの2種の多型を含んでいた。炭酸カルシウム多孔体をpH 7.4に調製したリン酸ナトリウム水溶液に浸漬し、90℃、3日間反応することで完全にアパタイトとなった。 得られた炭酸アパタイト多孔体の機械的強度は間接引張強さを測定したところ約1.4 MPaであり、製品化されているブロック状の骨補填材と比べても十分な機械的強度を有していた。
|