研究課題
外胚葉性異形成/皮膚脆弱症候群に関与するPlakophilin 1(Pkp1)は、細胞間接着に関与していることが知られているが、歯の発生における細胞接着分子としてのPKP1の役割は未だ不明である。本年度は、エナメル芽細胞分化におけるPkp1の役割を解明することを目的とした。マウス胎生11日齢 (E11)、E13、E14、E15、E16、生後1日齢 (P1)、P3およびP7マウスの歯胚からRNAを抽出し、 RT-qPCR法および免疫染色法にて発現パターン解析を行った。Pkp1は、歯および皮膚に強く発現し、エナメル芽細胞分化につれて発現が増加した。器官培養系においてPkp1を抑制させると、歯胚の大きさが減少し、歯原性上皮細胞の増殖を抑制した。歯原性上皮細胞株をCa2+にて刺激すると、PKP1は細胞膜へとその局在を変化させた。我々はこれまでの研究で、PKP1はエナメル芽細胞においてtight junctionの構成分子の一つであるZona Occludens 1(ZO-1)と共局在していることを明らかにしている。そこで、siRNA ZO-1によりZO-1の発現を抑制すると、siRNA Pkp1と同様に細胞 - 細胞接着を阻害することを発見した。さらに、Pkp1抑制はtight junctionにおけるZO-1局在化を阻害し、エナメル芽細胞分化を抑制した。これらの2種類のタンパク質は、免疫沈降により直接的な相互作用を示した。以上の結果よりPKP1が、エナメル芽細胞分化段階において細胞接着分子を介して、エナメル芽細胞分化の中心的な役割を果たすことを示すことが判明した。
2: おおむね順調に進展している
エナメル芽細胞におけるPKP1とZO-1の細胞膜における機能の評価がある程度完了した。
ZO-1は細胞膜に局在し、tight junction構成分子として機能するのに対し、PKP1はその局在を細胞膜から核内へと移行させる。今後はこの機能の違いを明らかにするため、PKP1の核内での役割と制御シグナルを明らかにする。
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Scientific Reports
巻: 27 ページ: 45181
10.1038/srep45181