研究課題
エピカテキンを作用させた脂肪細胞とマクロファージの共培養系に,慢性炎症を想定した低濃度LPSを加えた際の脂肪細胞の炎症関連分子の動態変化を,網羅的に解析した。また、エピカテキン抗炎症作用としてNF-kBに着目し,脂肪細胞やマクロファージにおける炎症性シグナル伝達に対してエピカテキンが及ぼす影響を検討した。さらに、3群(ND群・HFD群・エピカテキン含有HFD(HFD/EC)群)のマウスにおける肥満およびインスリン抵抗性の発症について検討した。ECを作用させた共培養系をLPS刺激すると、脂肪細胞からのCCL19遺伝子発現が有意に抑制された。また、NF-κBの活性化に関連するNF-κBサブユニットp65(Ser536)のリン酸化タンパク検出実験では、エピカテキンは主にマクロファージのNF-κBシグナル伝達を抑制しTNF-α産生を現象させることで共培養系での脂肪細胞の炎症反応を抑制することが明らかとなった。マウスを用いた検討において、 HFD/EC群では、高脂肪食負荷による体重・内臓脂肪量増加が抑制され、脂肪径の増大も観察されなかった。また、肝臓および脂肪組織における炎症関連遺伝子発現の抑制が確認され、高脂肪食負荷によるインスリン感受性低下の改善が認められた。さらに、寒冷試験でHFD/EC群はHFD群と比べ有意に直腸温が高く、脂肪組織においてHFD群で確認されたCD11c陽性細胞浸潤がみられなかった。以上、エピカテキンを作用させることで、肥満およびインスリン抵抗性が抑制されること、またエピカテキンが脂肪組織の炎症にCCL19の発現抑制を介して効果を示すことが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度に計画した研究については全て完了している。平成29年度に行う予定として計画していた研究も一部は解析が終了しており、おおむね順調に進展していると言える。
今後はエピカテキンによる歯周炎の予防効果について検討を行う。3群(普通食摂取群・高脂肪食摂取群・エピカテキン含有高脂肪食摂取群)の実験的歯周炎モデルマウスを用い、エピカテキンを摂取することによる歯周炎予防効果について検討する。
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Nutr Metab Cardiovasc Dis.
巻: 27(3) ページ: 249-259
10.1016/j.numecd.2016.11.008.