研究課題/領域番号 |
16H07073
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
俵 祐一 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (80781971)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 嚥下障害 / 呼気筋トレーニング / 咽頭喉頭部 / 形態学的検討 |
研究実績の概要 |
嚥下障害患者は誤嚥を起こしやすいため肺炎のリスクが高く、肺炎を合併した場合、従来の摂食・嚥下リハビリテーションによる嚥下機能改善に乏しいことが示されている。そのため、何らかの新しいアプローチが必要である。先行研究では、咳嗽能力向上を目的とした呼気筋の強化が咳嗽能力のみならず嚥下機能改善にも良好に影響したと報告されている。われわれも、嚥下障害患者に呼気筋トレーニングを実施し、咳嗽機能の有意な向上とともに嚥下機能についても好影響を及ぼしたことを認めた。しかし、呼気筋トレーニングによる嚥下機能への影響のメカニズムは十分解明されていない。 よって平成28年度は、循環動態が安定していて、口腔機能に問題がなく、指示理解に支障のある認知機能障害がなく、研究に参加する同意を得た嚥下障害患者および高齢健常者を対象とし、嚥下障害患者に対する咳嗽および呼気筋トレーニング実施時の咽頭喉頭部の即時的な形態変化の検討を試みた。喉頭ファイバーを対象者の鼻腔より挿入留置して安静呼吸後に空嚥下、随意咳嗽および呼気筋トレーニングを無作為に5-10 回実施し、咽頭および喉頭領域の形態をビデオに記録し検討する予定とした。 しかし、本研究の肝となる呼気筋トレーニングを行うための器具に必要な部品の調達が大幅に遅れ、それに伴い倫理委員会の承認を得るのも遅れてしまったため、若年健常者を対象とした予備実験までしか行えていない。予備実験の結果からは、随意咳嗽よりも呼気筋トレーニング実施時の方が、咽頭部の収縮は増強することが確認されている。よって、平成29年度は本課題も並行してデータ収集を継続し、嚥下障害患者における呼気筋トレーニング実施時の咽頭喉頭部の形態学的特徴を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の肝となる呼気筋トレーニングを行うための器具に必要な部品の調達が大幅に遅れ、それに伴い倫理委員会の承認を得るのも遅れてしまったため、若年健常者を対象とした予備実験までしか行えていない。予備実験の結果からは、空嚥下や随意咳嗽、呼吸理学療法の排痰手技である強制呼出手技よりも呼気筋トレーニング実施時の方が、咽頭部の収縮は増強することが確認されている。現時点では、呼気筋トレーニング実施に必要な部品の調達も完了し、呼気筋トレーニング装置は十分量確保済みである。よって、平成29年度は本課題も並行してデータ収集を継続し、嚥下障害患者における呼気筋トレーニング実施時の咽頭喉頭部の形態学的特徴を明らかにする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在呼気筋トレーニング装置は十分量確保済みであり、倫理委員会も審査承認済みであるため、研究対象者のリクルートを積極的に実施し、データ収集を進めていく予定である。それと同時進行で、平成29年度の課題である肺炎後の嚥下障害患者に対する呼気筋トレーニングによる咽頭喉頭部の形態的変化と咳嗽機能および嚥下機能へのトレーニング効果の関連性の検討についてもデータ収集を進めていく予定である。肺炎後の患者は研究協力施設でのリクルートが可能で、同施設内で喉頭ファイバーによる咽頭喉頭部の形態学的評価も実施可能である。また、ほかの評価項目(肺機能検査、呼吸筋力検査、咳嗽機能検査、嚥下機能検査など)についても施設スタッフの協力が得られるため、データ収集に関しては問題ないものと考える。
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