古代ギリシャ哲学で「混合」という概念が様々な説で取り扱われた。複数な要素が統一され、ひとつのものになるという過程はいろいろな問いを解決するために利用された。古代末期から中世初期にかけてギリシャ哲学がシリア語に、そしてアラビア語に翻訳された際に、どのように「混合」の概念が新しい思想的な文脈に伝えられたか、本研究のテーマである。特に、キリスト教徒のヨハネス・フィロポノスがキリストの二重本質の神学的問題に答えるためにギリシャ哲学から受け継いだ混合の説を使った。イスラーム教徒のアル=キンディーとアル=バグダーデイもアラブ哲学とアラブ医学の分野でギリシャ哲学の「混合」を受けながら、新しい説にも統合した。
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