研究課題/領域番号 |
16H07106
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
米田 正人 横浜市立大学, 附属病院, 講師 (10423831)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝炎 / 歯周病 |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の進展には、グラム陰性桿菌が放出するエンドトキシン(ET)が関連しており、ヒトではendotoxin activity assayの測定値は肝組織学的炎症反応、風船様膨化のグレードと有意に相関していた。ETは、腸内細菌や歯周病菌より放出されることが知られており、NAFLD患者における歯周病菌ポリフォモナス・ギンギバリス菌の感染率の上昇、歯周ポケット4mm以上が10か所以上あるNASH患者は有意にギンギバリス菌への感染が高いことを発見した。動物実験においてギンギバリス菌が放出するETを用い普通食(BD)マウス(健常肝モデル)では肝障害を起こさず、12週間の高脂肪食(HFD)マウス(NASHモデル)では肝障害を起こす濃度を検討したところ、0.25mg/kgの1回投与でHFD負荷マウスにおいてALTの増加をきたした。さらにこの濃度のETをHFD、12週負荷後、投与したところ肝組織(炎症、線維化)の増悪を認める結果となり、ギンギバリス菌由来のETによる脂肪肝の増悪(脂肪肝炎への進展)を起こす結果となった。HFD負荷TLR2ノックアウトマウスとTLR4ノックアウトマウスを用いて検討したところ、TLR2およびTLR4ノックアウトマウスではALTや肝病理の増悪を認めなかった。さらに責任細胞を同定するため肝臓特異的STAT3ノックアウトマウス、マクロファージ特異的STAT3ノックアウトマウスを用いたところマクロファージ特異的STAT3ノックアウトマウスでは有意にALTの改善を認めたが、肝細胞特異的STAT3ノックアウトマウスではALTの改善を認めギンギバリス菌由来のETにはマクロファージに存在するSTAT3の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の進展には、グラム陰性桿菌が放出するエンドトキシン(ET)が関連しており、ヒトではendotoxin activity assayの測定値は肝組織学的炎症反応、風船様膨化のグレードと有意に相関していた。ETは、腸内細菌や歯周病菌より放出されることが知られており、NAFLD患者における歯周病菌ポリフォモナス・ギンギバリス菌の感染率の上昇、歯周ポケット4mm以上が10か所以上あるNASH患者は有意にギンギバリス菌への感染が高いことを発見した。動物実験においてギンギバリス菌が放出するETを用い普通食(BD)マウス(健常肝モデル)では肝障害を起こさず、12週間の高脂肪食(HFD)マウス(NASHモデル)では肝障害を起こす濃度を検討したところ、0.25mg/kgの1回投与でHFD負荷マウスにおいてALTの増加をきたした。さらにこの濃度のETをHFD、12週負荷後、投与したところ肝組織(炎症、線維化)の増悪を認める結果となり、ギンギバリス菌由来のETによる脂肪肝の増悪(脂肪肝炎への進展)を起こす結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
以前の我々の結果から、大腸菌由来のETではレプチンによってTLR4受容体の共受容体であるCD14発現を亢進させること、またレプチン-STAT3-NFkBシグナルが肝障害に関与していることを報告しており、またギンギバリス菌由来のETでは自然免疫啓としてSTAT4のみならずSTAT2が関与していることが報告されているため、本研究ではメカニズムを解明するため、HFD負荷TLR2ノックアウトマウスとTLR4ノックアウトマウスを用いてギンギバリス菌由来のETを投与し、ギンギバリス菌由来のETが脂肪肝の増悪(脂肪肝炎への進展)をきたすメカニズムの検討を行う。さらに責任細胞を同定するため肝臓特異的STAT3ノックアウトマウス、マクロファージ特異的STAT3ノックアウトマウスを用いてギンギバリス菌由来のETにマクロファージに存在するSTAT3の関与を検討する。
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