本研究においては、 ①1950年代に発行された希少な同人誌約750冊を整理して公的機関(日本近代文学館)に寄贈し、公共化した。②鮎川信夫が、広島の詩人たちと創刊した詩誌『囲繞地』について、創刊の経緯や詩史的な意義を明らかにした。③「反戦平和のための詩歌原稿展」や「原爆展」(1950年代に姫路の詩人たちが主宰した重要な文化運動)の展示資料について整理・検証を行った。④「荒地」や鮎川信夫の詩を世界文学として読み直すため、海外の戦後詩研究者と国際研究集会を実施した。 以上により、『荒地』を中心として、日本戦後詩がいかに現代にも通ずる公共的な議論に参加していたたかを具体的な資料に基づいて明らかにした。
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