研究課題/領域番号 |
16H07117
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研究機関 | 朝日大学 |
研究代表者 |
庄司 直人 朝日大学, 保健医療学部, 講師 (40783353)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 組織レジリエンス / リーダーシップ / 超急性期 / CBRNE災害 / リスクコミュニケーション / 体験型トレーニング / アクティブラーニング / 災害医療 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、超急性期災害看護における臨機応変な対応力を引き出すアクティブ・ラーニング教材の開発をめざす。2016年度は大地震による災害、それに伴う原子力事故、大洪水による水害、化学物質による災害で対応にあたった看護師、医師、保健師にインタビュー調査を行った。そこで得たデータをもとに、特に不確実性の高い超急性期にどのような事象が発生し、どのような対応が求められ、どのようなトレーニングを積む必要があるのか分析した。 本研究が進むなかで、今後社会に必要とされる知見を創出するためには、CBRNE災害(化学、生物、放射線、核、爆発物により引き起こされる災害)への対応力をいかにして向上を図るかに焦点をあてる必要があることが明らかになった。そのため、CBRNE災害への対応の経験を有する看護師や医師などに改めてインタビュー調査を依頼し実施した。 現段階までの予備的分析のなかで明らかになった課題は以下の通りである。1)災害時の集団心理の理解、2)停滞した状況を打破するリーダーシップ、3)BCPのどこにも災害保健師がいないことへの対応、4)医療資源を見極めたうえで起こり得ることの予測から診療までの全体像を創り上げる能力、5)人手の足りない現場で医師を助けるキーマンとなる優秀なバイスタンダーの育成、6)その状況下で絶対にやってはいけないことの明示、7)公式的でシンボリックな情報と方針の伝達、8)公式的な情報伝達経路の構築、9)対応が正しかったのか検証する仕組みの構築、10)リスクを正しく伝える戦略。これらの課題に対応するトレーニングを構築することが2017年度の課題である。とりわけ、災害拠点病院などの院内で実施することを想定したトレーニング方法を考案し、トライアル実施から効果検証まで行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究を進めるなかで、CBRNE災害への対応を検討することが急務であることが明らかになり、CBRNE災害への対応経験のある適切なインタビュー対象者の選定とリクルートを改めて行ったことが大きな理由である。これまでに得たデータを予備解析し、特殊な病棟や病院の事例から浮かび上がった教訓や良好実践事例が汎化可能であることも確認しており、インタビュー調査対象者の再選定は適切であると判断した。 当初、インタビュー調査を2016年9月より1月までに実施する予定であったが、変更により、調査対象者の適格基準の見直しが2016年12月、2017年1月に調査対象者の再リクルート、2017年2月から4月までインタビュー調査を実施する計画へ変更した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の進捗状況は、やや遅れ気味ではあるが、年度内には研究目的にある超急性期災害看護におけるアクティブ・ラーニング教材の開発が行える見込みである。 具体的なスケジュールは以下のとおりである。2017年4月末まででインタビュー調査を終了し、同5月からインタビューデータの文字起こしが終了次第データ解析に移行する。同9月までをデータ解析の期間とし、全てのデータを用いて、災害超急性期にどのような事象が発生し、どのような対応が求められ、どのようなトレーニングを積む必要があるのか大きな指針と、トレーニングや教材の開発に落とし込むための具体的な方策を検討する。 同10月より、組織行動、人間工学、臨床看護、救急医など学際的チームを編成し、具体的にどのようなトレーニングが必要であり、トレーニングのツールとしてどのような教材が必要かについて、主にフォーカスグループを用いて検討を重ねる。 2018年1月~2月には、開発した教材を用いたトレーニングのトライアル実施を行い、効果検証も併せて実施する。
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