本研究課題では、超急性期の災害看護における臨機応変な対応力を引き出すアクティブ・ラーニング教材の開発をめざした。本課題に取り組むなかで、大地震による災害、大洪水による災害、化学物質による災害、放射線による災害への対応についてヒアリングを実施した。 そのヒアリングで得たデータをもとに、不確実性の高い災害発生時の対応においてどのような事象が発生し、どのような対応が求められ、どのようなトレーニングを積むことが必要であるか分析した。その分析結果をもとに、トレーニング内容の検討を行い、看護従事者並びに医療従事者が自ら学習を進めることを促すアクティブ・ラーニング教材の開発を進めた。 本研究をすすめるなかで、今後社会に求められる知見を導き出すためには、CBRNE災害(化学、生物、放射線、核、爆発物により引き起こされる災害)への対応力を備えることが、特に求められていることが明らかになった。そのため、とりわけCBRNE災害発生時に臨機応変な対応力を発揮できるようにするためのトレーニングする教材の開発をめざした。 具体的に導き出された課題として以下が浮かび上がった。1)災害時の集団心理の理解、2)停滞した状況を打破するリーダーシップ、3)BCPのどこにも災害保健師がいないことへの対応、4)医療資源を見極めたうえで起こり得ることの予測から診療までの全体像を創り上げる能力、5)人手の足りない現場で医師を助けるキーマンとなる優秀なバイスタンダーの育成、6)その状況下で絶対にやってはいけないことの明示、7)公式的でシンボリックな情報と方針の伝達、8)公式的な情報伝達経路の構築、9)対応が正しかったのか検証する仕組みの構築、10)リスクを正しく伝える戦略。 これらの課題に対応するトレーニングを検討し、病院内での実施を想定したトレーニング方法を考案しトライアルを実施した。
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